現在、シドニー在住7年のヴァイオリニスト・後藤和子さん。日本人では初就任のオーストラリア国立室内合奏団(ACO、オーストラリアン・チェンバー・オーケストラ)の正団員として活躍中です。
ACOは団員17名の弦楽合奏団で、豪州の国の援助も受け、1975年成立。音楽監督兼リーダーの「リチャード・トネッティー」を率いる平均年齢35歳と若い楽団員です。
ACOのホームページ:http://www.aco.com.au
和子さんは桐朋学園女子高等学校音楽科、同大学を卒業。91年に渡米し、94年ジュリアード音楽院を卒業。同年ニューヨークのアーティスト・インターナショナルより「リサイタル・デビュー賞」、95年にカーネギー・リサイタル・ホールにてニューヨーク・デビュー、同年に「アラムナイ賞」など数多くの賞を受賞されています。
95年より指揮者小澤征爾が総監督を務めるサイトウ・キネン・オーケストラにメンバーとして出演。97、2001、2004年、同オーケストラのヨーロッパ・コンサート・ツアーと米国ツアーにも出演。又、2000年から毎年シドニーにてソロリサイタルを行い、ACOの団員としての仕事も1年間のコンサート回数は約130回以上、ツアーも多く、豪州主要都市や地方都市、国際ツアーも年に1−2回あり、シドニーの自宅に居るときは年に半分位とのことです。
そんなお忙しい中、日本公演を控えたある日チャッツウッドの「朝子の部屋」にていろいろお話をお伺い致しました。
★ヴァイオリンを弾き始めるきっかけ
3歳の頃、2歳年上の仲の良い従姉弟からの影響で、彼女はその時既にヴァイオリンを弾き始めていた。もともと、お兄さまもピアノを習っていて、ご家庭の環境に恵まれたようですね〜「色々なヴァイオリンの先生にお世話になりましたが、その先生達には本当に恵まれており、そのお蔭様でずっとヴァイオリンを、音楽を好きで弾き続けていられるのだと思っています。」とのこと。
★ 来豪の理由
1998年まではニューヨークに7年間滞在されており、現在所属していらっしゃる「Australian Chamber
Orchestra: オーストラリアン・チェンバー・オーケストラ」の仕事で来豪されました。
ニューヨーク滞在中の97年の夏のある朝、音楽家の為の新聞広告に「オーストラリアン・チェンバー・オーケストラ、ヴァイオリン奏者募集!」という記事を読み、オーディション・テープと履歴書を送られたそうです。
その2-3週間後に、オーストラリアから「おめでとうございます!貴方は第1次審査のテープ・オーディションに受かりました!」という事と、第2次審査の事柄が、「実はACOは、3月25日にカーネギーホールでコンサートがあり、ニューヨークに行きます。その次の日に、貴方はオーディションが受けられます 〜〜」等など、色々な詳細を含めたファックスが送られてきたそうです。
大抵は受験者がオーディション会場に、どんな国でも場所でも向かわなければいけないのに、あちらから来てくれる、それも、半年以上も先の話なのに。。。その当時彼女は、未だ先の事を模索中状態でその時期がくればきっと何かが決まるでしょう!という感じで呑気に構えていたとか、
そして、そろそろニューヨーク生活を引き上げ日本に帰ろう!と新年98年に入ってから漸くして決心がつき、ニューヨークでお世話になった先生方や友人知人達にも宣言し、又日本のご両親、先生、友人達にも今後日本での生活などを話しつつ、ニューヨークでの仕事の片付けや、コンサートなどに追われて彼女の気持ちはすっかり「オーディション」の事も、忘れてしまっていたそうです。
そんな時、オーストラリアから又、「貴方のオーディションの日程と、課題曲をお知らせします!」というファックスが、ある日突然届き、そのオーディションはあと1ヵ月後、今までのニューヨーク生活の終止符として、「ニューヨーク最後の演奏の場として、弾かせて頂こう!!」という気持ちでオーディションを受けられたそうです。
オーディションの前夜にACOのコンサートがカーネギーホールで行われ、和子さんはコンサートを聴き、感動と鳥肌と喜び、全てが合さって、次の日のオーディションでメンバーに会えるのがとても楽しみだったとか。オーディションへの恐怖感も無く、ただ彼らに前夜の素敵なコンサートのお礼が言いたくてオーディションに向かったそうです。彼女が弾いている間、彼らから感じる何かが和子さんに伝わってきて、演奏への反応も嬉しかったと話は続きます。
オーディションも終わり、彼女自身は引越しの準備や色々とせわしない日々を送っていた時、ニューヨークを発つホンの数日前に、「おめでとうございます!貴方は第2時審査のライブ・オーディションに合格致しました!よって、試用期間として、こちらシドニーに来てください」と、又ファックスで送られてきた。ACOの希望は3ヶ月後に試用期間として3ヶ月間来て欲しいと言うことだったので、3ヶ月は日本で考えられて、又試用期間中はACOとオーストラリアの様子が見られると思い、取りあえずは、オーストラリアへ向けて!!!と、半信半疑で、シドニーに向かわれたそうです。
★最近のツアーでの印象
2004年の米国ツアー最後のカーネギーホールでのコンサートはスタンディング・オベーションを受ける喝采で、演奏する側もとても弾いていて気持ち良かったそうです。2003年には、日本径由ヨーロッパツアーがあり、その時の東京・紀尾井ホールでのコンサートには皇太子殿下雅子妃殿下が聴きにいらっしゃってコンサート後は団員の数名と両殿下と、オーストラリア大使だけのレセプションがあり、殿下ご夫妻がACOの演奏をとてもお喜びになって下さり、又温かいお心配りに和子さん始め団員の方達は大変感激されたそうです。
その後、日本公演を終え、ヨーロッパへ!!!そのヨーロッパの数々の演奏会のなかでは、オーストリアのウィーン楽友協会でのコンサートで、立見席まで一杯で、演奏後には拍手と共に足踏みまでして喝采を受けられ、大変興奮されたそうです。
★ 将来の夢
「豪州の自然の中で、音楽祭を開けたらとても嬉しいですね。日本や米国、ヨーロッパ、イギリス、そして豪州内にいる音楽仲間達が集まって。。。彼らと豪州の素晴しい自然と空気を味わって、勿論新鮮なお食事と美味しいワインも!その中で演奏して頂いたり、一緒に音楽を奏でたり!それは大きな規模でなくて良いのです。。。静かに少人数からで。。。!」
★後輩に贈る言葉
「皆、元気に励んでいって欲しいです。職業問わず、何でもやる事に一生懸命になれる事が生きている事だと思い、何をいつも大切にするかを、時々立ち止まって、改めて感じて欲しいと思います」。
今後も和子さんのパワー&音色♪を奏でて、全世界に魅了し続けてください♪
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